はじめに
この間、仕事で、ある地方都市の駅前を歩いたのですが、駅のすぐ近くだというのに古くて劣化した建物が多く、驚きました。観光地で見るような古くても管理の行き届いた建物と違い、明らかに放置されたままの空き家が多かったのです。
瓦が一部剥がれて屋根の土が露出していたり、窓ガラスが割れたままだったり、モルタルが剥がれ錆びた鉄筋が露出していたり、いつ倒れてもおかしくないくらい傾いていたり、「危険・立入禁止」のテープが貼ってあったり…。
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近年、空き家問題は大きな社会問題となっており、2015年2月には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
同法では、その目的を「適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため(第1条)」としています。
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また、国は5年ごとに住生活に関する基本的な計画を策定しています。これは住生活基本法に基づいたもので、「住生活基本計画」と呼ばれます。
直近の2016年の住生活基本計画では、空き家(売却用・賃貸用・別荘などを除く)を2025年時点で400万戸程度に抑えることを目標にしています。
その背景として、2013年時点で約320万戸の空き家(売却用・賃貸用・別荘などを除く)が存在し、10年後(2023年)には約500万戸に達するという民間シンクタンクの予測もあります。
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東洋大学の野澤千絵教授によれば、65歳以上の高齢者のみの世帯が住んでいる住宅数は約720万戸もあるようです。これは2013年の総務省住宅・土地統計調査の結果を基にしているので、現在はさらに増加していることが予想されます。こうした高齢者のみの世帯というのは、他に比べ空き家となるリスクは高いと言えるでしょう。積極的な対策が求められています。
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このブログでは、空き家問題の背景、空き家を問題化させないためにはどうしたらいいのか、問題化してしまった空き家をどのようにすべきかなど、空き家問題をメインに扱っていこうと思います。