老朽化した空き家マンションを行政代執行により解体
2020年6月末、滋賀県野洲市は、行政代執行により、長年放置され危険な状態になっていた空き家マンションの解体を終えました。解体工事費は1億1800万円にものぼり、市は所有者9人に対し、納付命令書を送付しました。所有者一人当たり約1300万円の請求がなされたことになります。
このマンションは少なくとも10年前から無人となり、既に2008年の時点で近隣住民から「手すりがぶら下がり、階段が崩落している」と市に苦情が入っていたようです。その後も地震や台風の被害を受け、外壁が剥落しアスベストがむき出しになるなど、危険な状態になっていました。
このようになってしまった原因の一つに、所有者の所在不明・連絡先不通の問題があります。
区分所有法では、建物を建て替えるには、所有者の5分の4の同意が必要です。しかし、当マンションでは所有者9人のうち、連絡に応じない個人1人と行方不明の法人所有者の同意が得られず、7人の賛成では5分の4に満たないため、建て替えの話は頓挫してしまったという経緯もあったようです。
2015年に施行された空家対策特別措置法に基づき、行政主導による解体が行われたわけですが、引き続き解体費用をどう捻出するかという問題があります。
9月25日付けの毎日新聞によれば、所有者9人のうち3人から計約3900万円を回収したとのことです。
今後、老朽化したマンションは大きく増加していくと思われます。早急な対策が必要です。