相続登記、義務化へ
昨年4月に「民法等の一部を改正する法律」可決され、12月には同法律の施行日が閣議決定されました。
これにより、ついに相続登記が義務化されるようになります。義務化の内容をその背景とともに説明します。
■ 相続登記とは
相続登記とは、土地や建物などの不動産を所有する人が亡くなったとき、その不動産の名義を相続人に変更することです。
■ 義務化される背景
現在、相続登記には義務がないため、不動産を相続しても登記がなされずそのままになっているケースも多いと言われます。このような状況の中で社会問題となっているのが、所有者不明の土地の問題です。
土地が所有者不明の場合、公共事業や復興事業などが円滑に進まず、また民間の取引においても阻害される原因となります。所有者不明土地問題研究会によれば、563の市区町村の地籍調査(2016年度)の結果、約2割が所有者不明の土地だということです。
2021年4月に民法等の改正と相続土地国庫帰属法の制定が行われ、2021年12月14日の閣議にて、施行日が決定されました。相続登記の義務化は、2024年4月1日から施行されます。
■ どのような制度か
相続により不動産の所有権を取得した者は、不動産の名義変更登記をしなければならなくなります。「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に」登記手続きをする義務です。正当な理由がなくこの義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となります。
そして、相続登記義務は、法改正の施行期日前に相続の開始があった場合にも適用されます。
それから、遺産分割協議がまとまらない場合、相続人であると申告をすることで相続登記義務を免れる制度も設けられています。この場合は、遺産分割協議の成立後、相続人は遺産分割の日から3年以内にその名義変更登記を行う必要があります。
また、住所等の変更登記も義務づけられます。「所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。」ということです。義務を怠れば、5万円以下の過料の対象となります。
ただし、住所等の変更登記義務については、現時点(2020年5月4日)において施行日は未定です。
■ まとめ
近々、相続登記は義務化されます。いざという時に備えて、相続登記についての知識をもっておきましょう。